EUはウクライナの加盟申請に対する「戦時下における驚くべき取り組み」を称賛する一方、汚職対策の後退を警告する主要報告書
https://kyivindependent.com/exclusive-eu-to-praise-ukraines-remarkable-commitment-to-membership-bid-but-warn-of-backsliding-on-anti-corruption-in-key-report/
欧州委員会は、ウクライナが加盟交渉の6つの「クラスター(分野群)」のうち、@ 基礎分野(法の支配・民主制度)、A 内部市場、E 対外関係の3つを開く条件を満たしたと評価。
残る3クラスターも「年内に条件を満たす可能性が高い」としている。
(残りは、B 競争力と包摂的成長、C グリーン政策と持続可能な連結性 (エネルギー・環境・気候・交通・通信インフラ)、D 農業・漁業政策、地域開発、統計、財政監督

指摘された懸念点
ウクライナ政府が検察総長の権限を拡大し、独立系の汚職対策機関(NABU・SAPO)を政治的に統制下に置こうとした動きが7月にあり、国内外で強い反発を招いた。
抗議を受け撤回されたが、欧州委員会は「このような圧力は今後も続く可能性がある」と懸念。
汚職防止局や市民社会への圧力をやめ、司法の独立と法執行機関の透明性を強化するよう要求。
「組織犯罪の抑制」「人権保護」「軍政下での基本的自由の保障」も課題として挙げられている。

EUの政治的姿勢
ハンガリーが唯一の加盟交渉開始阻止国であり、技術的進展は政治的に足止めを食っている。
欧州委員会は「正式な交渉開始は遅れるとしても、作業を止めない」という立場。
マルタ・コス拡大担当委員は「少なくとも政治的合図を出し、年内に全クラスターを開けるよう準備を進める」と述べている。

加盟時期の見通し
ウクライナ政府目標:2028年までに交渉完了。
EU委員会の見立て:現実的には2030年頃。
加盟には27か国すべての承認が必要であり、特に「ハンガリー問題」と「法の支配基準」がボトルネック。

今後の制度改革
州委員会は、新規加盟国が加盟後に民主主義や法の支配で後退しないようにする「セーフガード条項」を今後の加盟条約に盛り込む方針。
これは、ハンガリーやポーランドで見られた“加盟後の権威主義化”の反省を踏まえた制度改革。