プーチンはトランプが理解できない規範に従って生きている
https://www.theatlantic.com/international/2025/12/putin-trump-misunderstanding/685167/
プーチンの行動原理(ポニャーチア=裏社会的な力の論理)と、トランプの行動様式(取引的・ビジネス的思考)は根本的に噛み合わない。
トランプが「外交=ディール」と見ているのに対し、プーチンにとって「ディール=弱さの告白」

トランプ:「条件を提示すれば交渉が進む。譲歩を見せれば合意に近づく」→不動産業界的な“取引”の論理
プーチン:「自分から譲歩を提案=屈服した弱者」「相手が譲歩を提案=その時点で相手が下位」→ポニャーチア(旧ソ連裏社会の“掟”)の論理
このギャップのせいで、トランプが「平和案」を出せば出すほど、プーチンは『アメリカが折れてきた』としか感じない。

プーチンの“掟”(ポニャーチア)の中身
仲間を裏切らない(プーチンは80年代の友人を今も守り続ける)
侮辱は絶対に許さない(亡命者・反体制派への報復)
上下関係は絶対
交渉を持ちかける者=弱者
相手が下手に出てきたら、要求をさらに吊り上げる

この世界観で判断すれば、トランプがプーチンを褒める→プーチン側にとっては支配関係の確認に見える。
トランプが一方的に平和案を出す→プーチンは「アメリカが引いてきた」と判断する。
この食い違いが、外交を成立させない根本原因。

プーチンが一瞬だけ引いた場面もある
記事では、唯一プーチンが引いた場面として、トランプが核実験再開に言及した時、ロシア側が慌てて「核エンジンであって核弾頭じゃない」と後退したという事案を提示。
これは、“強さへの反応”であり、ポニャーチアの世界観に近かったゆえに効果があった。

トランプは「交渉語」を話し、プーチンは「暴力団の掟の語彙」で物事を解釈する。両者は最初から論理体系が噛み合わない。
外交の問題というより、人格的・文化的・心理的な非互換性そのものが障害となっている。