これはDDG(X)ではない。むしろ、「政治的欲望・技術的未成熟・夢兵器」を全盛りした仮想スーパー水上戦闘艦で、現実の米海軍調達プロセスとは明確に乖離している。

艦型・規模の時点で破綻している
全長840–880ft/排水量>35,000t これは駆逐艦ではなく、巡洋艦(CG)を超え、ほぼ戦艦サイズ ズムウォルト級(約15,000t)の2倍以上

DDG(X)想定:
排水量:約12,000〜15,000t バークの延長線上(大型化はするが倍化はしない)→この時点でDDG(X)の枠外

兵装:現実と妄想が混在している
@SLCM-N(核巡航ミサイル)
水上艦への再搭載は米海軍公式では極めて慎重。冷戦後、核兵器は意図的に水上艦から排除され、政治的・同盟管理コストが極端に高い →「技術的には可能」だがドクトリン的にはほぼ不可能
ACPS 12セル(極超音速)
CPS(ConventionalPromptStrike)は主にSSBN/SSGN/将来SSN向け。水上艦搭載は検討段階だが12セル固定は非現実的でコスト・運用価値が釣り合わない
BMk41VLS 128セル
数だけ見れば「可能」だが、艦を巨大化させる理由にならない。バークFLIIIでも96セル。
C32MJレールガン+HVP
事実上終了した技術。米海軍はレールガン開発を凍結、HVPもレールガン前提では意味を失った。電力・砲身寿命・精度すべて未解決で、ここは完全に過去の亡霊
Dレーザー300–600kW×2+ODIN×4
300kW級:ようやく実験段階 600kW級:艦載運用は未確立 ODINはセンサー妨害レベル →数だけ並べた「カタログ兵器」

乗員650–850人:致命的に時代錯誤 米海軍の最大の制約は人員
ズムウォルト:≈150人 バーク:≈300人 →800人級は兵站、維持費、人員確保すべてで不可能

クラス規模20–25隻:財政的に崩壊
1隻あたり:原子炉級電力、極超音速、核兵装、レールガン、大量レーザーで単価は空母未満・原潜超えになる →20隻建造は非現実的で、実際は3〜5隻で打ち切りのパターン

総合評価
これは何かというと:DDG(X)ではない、CG(X)ですらない冷戦的「万能戦艦」幻想の再来。技術成熟度(TRL)を完全に無視した仕様
構造的には:「トランプ級」的な象徴優先で、ズムウォルトの失敗要因を全部再投入。海軍が最も避けたいタイプの計画


めっちゃ手厳しい