> 『せよ……そうだ、喜びを作らなきゃならない。だれか知らんが、貧しい、非常に貧しい人の喜びを作らなきゃならない……それはもう婚礼にぶどう酒がたりないといえば、むろん貧しい人に決まっている…
>
> …歴史家の説によると、ゲネサレ湖の周囲とその付近一体にわたって、想像も及ばないような貧しい部落があったそうだ…
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アレクセイは真剣に聖書を学び、師の教えをひとことも聞き漏らすまいと
夢中で努力してきた。

だから夢へとまどろむなかで、このような想念が浮かんできたのだ。

非常に貧しい人の喜びを作らなきゃならない…!と。

そもそも青年が宗教に生きるのはご利益のためではない。

おのが使命を知り、なんのために生まれてきて、世界のなかで どういう役目を果たすのか?そのために宗教が必要だったのだ。

だから、自分のいのちを犠牲に供したいと夢想するのだ。

ぼくたちもまた「自分の使命」をなんとしても果たさねばならぬ。