カメラ・写真界隈では、一眼カメラの交換レンズを次々と購入してしまう趣味の俗称として、「レンズ沼」という用語が古くから使われてきた。その歴史は長く、ひとつの趣味やジャンルに夢中になって抜け出せなくなった状態を“沼”と表現するネットスラングの起源という説もあるくらいだ。カメラ用語の中でも特に有名で、カメラに詳しくなくても一度は聞いたことがあるという人も多いのではないだろうか。その実態は、趣味の範囲を超えてしまうこともあるくらいの“底なし沼”で、一度ハマったら抜け出すのはなかなか難しいと言われている。本記事では、長らくレンズ沼にハマっている筆者がその世界の一端を紹介。筆者が考えるレンズ沼の定義や、ハマってしまう理由、自身の沼ライフの概要などをまとめてみた。

レンズ沼にハマると“理想のレンズ”を追い求め続けるようになる
一眼カメラは、交換レンズを使い分けることで、さまざまな表現の写真を撮れるのが最大の特徴だ。交換レンズには、一定の範囲で画角(写る範囲を角度で表したもの)を変更できるズームレンズと、画角が固定された単焦点レンズの2種類があり、その中でも、対応する画角によって大きく「広角」「標準」「望遠」に分けられる。通常のレンズではとらえられないミクロの世界を写せるマクロレンズや、180°前後の広い画角を持つ魚眼レンズなどもあって、用途にあわせて選べる幅広いバリエーションが用意されている。

面白いのは、同じ種類や同じ画角の交換レンズであっても、それぞれに設計が異なっていて描写の特徴が違うこと。まったく同じ写りになることはなく、レンズの数だけ個性があると言える。その分、楽しみの幅が広くて奥深い世界なのだが、探求が行き過ぎると陥ってしまう世界がある。それが“レンズ沼”だ。