>>640
ここまで考えてると、個ってのは我ってものとイコールではないということになんとなく気がつくと思う。
「自意識」と言ってるものは、実際には自分の成分だけで構成されてるわけではない。
たとえば、経験とか記憶と結びついていて、それはたいてい他者との経験であり記憶ですからな。
我とか「自意識」ってのは他者を必然的に含んでいる。

であるからこそ、無意識ってものも存在すると言えるんですよね。
無意識ってのは、基本的には他者というものの解釈であり、他者への欲望です。
赤ちゃんならママへの欲望、大人になったら性欲の対象に対する欲動。
つねに他者と関連があり、しかしそれを偽装しつつ成り立っているのが無意識で
それに乗っかってるのが意識(精神)ってやつです。

自分に意識を向け探求するってのは、自分がどういう人間であるかを知ることだけじゃなくて、
自分の周りにどんな他者がいて、自分がどんなシステムの中で生きているかっていう探求です。
自分の恋心に真剣に想いを巡らせた結果としてのプロポーズなんて、
「あなたを幸せにします」と言いながら「自分を幸せにする」ことだとも言える。
それは、なんていうか、否定的にとらえる必要はない。
自分を幸福にできるポテンシャルを持っているということは、
他者を幸福にできるポテンシャルがあるってことです。
それは両義的なものなんだと思います。