☆夏宵
http://www.w-room.net/flash/flash/natuyoi/natuyoi.htm
 Flash終了後、手紙部分を拡大すると手紙の内容、その中での隠しリンクを辿ると続きが見れる三段仕掛け。

 ノーヒントで辿るのはやや厳しいけど、心憎い工夫だと思う。
 文章を三つに分けることで、それも映像Flash、テキスト、テキストを中心としたFlashとそれぞれの趣向が決まっていて、長文を読む飽きをきちりと防止している。
 三つをスムーズに読ませる読者への導き、三つ目のパートをもうちょい演出できたんじゃないかと言う不満は残る。
 が、そのチャレンジ精神を褒めたたえたい。
 文章の長所と短所を知っていて、その良いところを活かしたFlashだ。

 ひなたのにおいするてのひら。蝶を取るのが上手な人。
 の相手への無防備な好感。幼い打算のない視点を捉えている。

 初めは音楽は補助的な作用、次に文章とテンポを合わせ歌詞的な役割、最後に音楽だけ流してセリフを伏せることで醸し出される上質な読者への秘密。
 そのまま進み、単体では時を経て二人が結ばれたとも取れるミスリードとちょっとした疑問を残して作品は終わる。

 作中の設定はわからないが、時代風景なのかもしれないが、絵から感じられる二人はとても幼い。
 小学生中学年くらいに見える。
 ぎりぎり中学生辺りにしておくと、大人になるまで囚われ続けるような恋の説得力が出たのではないだろうか。とても幼い。


 ここからテキストを中心に作品が淡々と痛切に綴られていくのだが、これは見ていて辛い。
 時の残酷さとそれに洗われない純な心との葛藤が、痛い。
 大人になった、ことで丁寧語で語られる。その子供には戻れない距離感が重い。
 好き「です」の切なさ。決してその成就が狙いではない。離別を決意した何とも言えないすがすがしい切なさが残る。