7.3 数学モデルは現実世界と論理世界を結ぶ架け橋の一つ
 私は企業に勤務していた頃、いろいろな分野のプラントの制御システムの開発や動特性シミュレーション
に従事してきましたが、そこで数学モデルの有効性を痛感しました。
 それは、いったん数学モデルが作成できれば世界がまったく変わってしまうことです。現実世界では、
対象の挙動は構成、材料、形状や動作環境などいろいろな条件に左右され、それを大きく変えることは
物理的に難しいことが多く、我々の思考もそれに縛られることが多いのも事実です。
 数学モデルが生成できれば、論理世界に入ることができ、そこでは禁止されているのは論理的な矛盾だけです。
数学理論はもちろん、関連した数値解析、コンピュータ・グラフィックや種々の計画法が応用できます。
それにより、現実世界にとどまっている限り得られない新しいアイデアが出てくる可能性があります。
数学モデルは現実世界と論理世界を結ぶ架け橋となります。これを一般化すると、「モデルは現実世界
と仮想世界を結ぶ架け橋」と言えるかもしれません。
 ただ、論理世界で得られた結果を現実世界で実現するためには、それが現実世界で有効かまた実現可能
なものなのかを調べる必要があります。しかし、それは論理世界の中では不可能です。現実世界に戻すためには、
別の方法が必要です。それがシミュレーションです。数学モデルとシミュレーションにより、実践と理論の結合が図れるのです。
http://www.wind.sannet.ne.jp/masa-t/semioeng/modeling/modelasim/mas07/mas07.html