これらから言える事は、旧ソ連軍は一般的に理解されている消耗戦型、殲滅戦の軍隊ではなく、
混乱誘発を重視した機動戦(機略戦)の要素を強く持った軍隊であったといえよう。

しかも、この混乱誘発は、最初は戦術次元から始まり、時代を追って作戦次元、戦略次元へと混乱を前倒そうとしている。
つまり一貫して相手の対応を困難にさせる事を重視しており、その混乱目標は敵部隊の直後から、敵後方区域全体へと空間的、時間的に縦深を延伸している。
まさに全縦深同時打撃、縦深作戦である。そして最終的にはより上位の戦争次元へ混乱の拡大を目指した。

つまり戦略次元の混乱に乗じ、核兵器の使用や、米軍の欧州増援の到着前に戦争を決するという機動戦的(機略戦的)な短期決戦に結実している。