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>3フェーズ(1989年1月〜9月)は、国防タカ派と通商タカ派が連携して巻き返しをした時期です。1989年1月に行われたジム・ベーカー次期国務長官の上院公聴会において、J.ヘルムズ議員は新政権にFSX合意の再検討を要求しました。
また同月、C.プレストヴィッツ商務省次官補(当時)はワシントンポスト紙に「日本への施しをやめよ」という論文を投稿しています。翌月には日米首脳会談が行われましたが、上院議員12名からブッシュ大統領あてにFSX見直し要求の書簡が寄せられました。

そうした中、同年3月に三菱重工業のリビア化学兵器工場建設関与疑惑が報道されました。私の知る限り、この報道は根拠のない意図的なリークでした。1週間後、ブッシュ大統領はNSC(国家安全保障会議)でFSX合意の見直しを決定します。
その後、ブッシュ大統領は「見直し」決着を発表しましたが、上下両院はそれで収まらず、バード決議案およびバード・ブルース決議案をめぐって議会は混乱します。そして9月に上院再投票が行われましたが、バード・ブルース決議案は66対34で可決には至りませんでした。

80年代後半から90年代にかけて、日本は米国の国防タカ派の標的となり、薄氷を踏むような状況でした。なお、国防タカ派は米国政治において一貫して強力な政治力を維持しています。
冷戦時代はソ連をターゲットとしていましたが、冷戦終結とほぼ同時に日本に矛先を向け、その後はイスラム過激派テロとの闘いに精力を傾けてきました。
東芝機械事件で対日急先鋒だった人々の多くは、リチャード・パール(当時国防次官)氏をはじめてとして、今日ネオコンと呼ばれるグループに属しています。

https://www.rieti.go.jp/jp/events/11100701/summary.html