雷電とほぼ同世代、FW190A-1と比較してみる。

空冷BMW801(離昇1540ps)搭載だし、エンジンの太さによる正面投影面積の空気抵抗のロスは
火星搭載の雷電と、似たような課題を抱える。
最高速度は630km/h、「フォッケウルフの速度の法則」があるから、全備状態でどれだけ実スピードが出たことやら(苦笑)
【翼面荷重は200を超え】る。

局地戦闘機とは、「元々は」基地上空を襲来する爆撃機を駆逐するために、
高い上昇力と優れたスピード、20mm機銃の撃破力を兼ね備えたものであり、
護衛戦闘機との格闘性能について、それほど注文をつけるべきモノでなかったハズだ。

という比較において、【翼面荷重が140】のJ1M1(総重量 2861kg、主翼20.05u)は中途半端なスペックである。
海軍から、旋回性能につき、非公式な注文がついたのか、堀越が勝手に忖度したのか?
高アスペクト比で翼幅荷重を低くし、エルロンの効きを良くする方向で、旋回率を高める手法(土井武夫の飛燕)を、
堀越(三菱)は実用化しなかった(知らなかった?)から、余計に何とも中途半端な機体に仕上がった、と思う。
だから578km/hしか出せなかった、とも?

だから、水メタ火星にエンジンを切り替え、推力式単排気管を乗せ、ドーピングを施して、
J1M2で598km/hをクリアするけれど、プロペラの異常振動に悩まさられ…

飛燕の主翼設計のキモ、高翼面荷重で高速を期待するが、高アスペクト比を用いて旋回性を保つ、という
手法を、空技廠なり三菱がモノにしていれば、雷電も烈風も、もう少し早くマトモになった可能性はある。