3. 特定3品目に関する不適切な貿易管理の実態

 まずフッ化水素についてであるが、サムスンは現在中国の西安にフラッシュメモリ工場建設にむけて
2兆円規模の投資を進めているが「この工場で使われるフッ化水素はどこから入手するのか」というと、
韓国に超高純度フッ化水素を作る技術がない以上、日本から輸入されたフッ化水素が韓国から中国に
横流しされている可能性が高い。ほぼ100%といってもいいだろう。
 他方で日本はホワイト国ではない中国に対していわゆるキャッチオール規制に基づき原則130nm以下
の線幅の集積回路の製造技術の輸出を厳しく貿易管理をしている。フッ化水素の韓国から中国へ横流し
は到底受け入れられない。

 つづいてEUVレジストに関してだが、現在中国は「中国製造2025」というビジョンを掲げており、半導体の
国産化をめざしていて、アメリカは激しく反発している。
 中国はDRAM製造技術をどこから入手するかというと、当然韓国である。中国の公正取引委員会は
DRAM主要三社(サムスン、SKハイニックス、Micron)に対して技術移転を強制すべく圧力をかけている。
 他方で日本は中国に対して輸出貿易管理令別表7、貨物省令第6条、第19条等に基づいて最先端半導体
プロセスに関する貨物の輸出、技術移転は厳しく管理する方針をとっており、韓国、中国のこうした動きは
当然受け入れられない。

 最後にフッ化ポリイミドについてだが、これは有機ELの製造プロセスにおいて重要な役割を果たす材料
である。他方で2018年11月にサムスンディスプレーから中国パネル企業に大規模な先端技術の流出事案が
あったことが広く報道されている。
 そしてこのフッ化ポリイミドについても当然輸出貿易管理令別表5等に基づいて中国に厳しく貿易管理され
ている品目である。
ttp://agora-web.jp/archives/2040232.html