艦砲射撃の歴史は貴重な資料だが、この本だけを読むと三倍説は日本海軍の共通認識だったと思える
しかしあくまでも黛個人の私見で、砲戦教範などの公式資料にないのはもちろん、海軍内ではほとんど認知されていなかったことには注意が必要

海軍反省会で元軍人に詰問され、後出しであれはああだったこうだったと言ってるので、それらも併せて読む必要はある

戦前に高い命中率をあげたという射撃演習は、成績を上げるために演習限定の人員配置をしたとか、演習後には精度が狂うような規格外の締め付け強度で砲の据付調整をやったことなども明らかになっている

大和の広大な非防御部分が水中防御上の弱点と看破し、居住性能など犠牲にして桐ダンスでも詰めれば良いと先見の明のある提言もしてるけど

本人も言ってるけど、彼は兵学校の卒業席次が低かったので、砲術専門家として提言したことがなかなか採用されなかった
海軍エリートに劣等感や被害者意識を持っていて開き直って異端を自認しているところもあるから、彼のいうことは正邪を判断しながら読むのが良い