プロペラの先端速度はプロペラ先端の周速度と飛行機の飛行速度の合成なので、プロペラの周速度か飛行速度のいずれかが大きくなれば音速に達する。
このうち周速度は回転数に依存するが、たいていのエンジンは公称馬力時の回転数が離昇馬力時の回転数より低い。
しかしハ45は離昇馬力と同じ回転数なので、他のエンジンより低い飛行速度で音速に達するだろう。
ということでプロペラ先端のマッハ数と飛行速度を表にしてみた。

ハ45-11型
(ペラ直径3.0m、減速比0.5、2900rpm、高度5700m)
プロペラ先端  飛行速度
 マッハ数  (m/s)/(km/h)
 1.00    221.9/799
 0.95    198.5/714
 0.90    173.3/624
 0.85    145.5/524
 0.80    113.3/408

ハ45-21型
(ペラ直径3.0m、減速比0.5、3000rpm、高度6100m)
プロペラ先端  飛行速度
 マッハ数  (m/s)/(km/h)
 1.00    211.1/760
 0.95    186.6/672
 0.90    159.9/575
 0.85    129.6/467
 0.80     92.4/333

以上はプロペラ直径3.0mで計算したが、大直径ペラならもっと悪い値になる。
実際のプロペラのマッハ数限界がいくらなのかは分からないが、これで見るとハ45の減速比0.5は、高速飛行のためには十分とは思えない。
そしてキ84の小さいと言われるプロペラは、要求最大速度を得るには仕方無かったと思える。
もちろんどんなエンジンだってプロペラ直径を大きくすれば同じことが言えるが、ハ45は公称馬力を高回転数に依存してるから他に比べて不利なはず。
とは言ってもプロペラが大きめの彩雲でも高速を発揮してるからプロペラのマッハ数限界は意外と高いのかも知れない。