>>947
 「日本の要塞」には基線長が書いていないので本当のところはわかりませんね。
一応千代ケ崎砲台の項目での記述ではあるのですが細かい条件が不明です。

 そこで「艦砲射撃の歴史」P161にある非常に簡易的な式で実験してみます。
 この本文によれば3.5m、4.5m、6mの基線長を持つ倍率28倍の測距儀の距離1万5千mでの測距誤差はそれぞれ320m、256m、220mとあります。
 素直に計算すると少し違う(333m、259m、194mになる)ようなのですが、
本文中同じページで既に基線長が3.68mと4.6mと違う数字になっていたりしますから細かいことは気にしないことにします。

 この式に私たちに馴染み深い大和型の測距儀基線長15.5m、倍率28倍で代入すると同距離で誤差75m、
仮に3万mとすると301m。それらしい数字にはなります。

 八八式海岸射撃具の基線長ですが、対馬要塞豊砲台が1,200m(「日本の要塞」)、
三浦半島三崎砲台の全周応戦試験では方向により概数5,000〜6,000m(「兵器を中心とした日本の光学工業史」)、
レンズの倍率25倍。
 これを先ほどの簡易的な式に代入すると、
基線長1,200m 距離距離3万m 誤差4.35m、1万5千m 誤差1.09m、距離1万m 誤差0.48m 
基線長5,000m 同上 誤差1.04m、同上 誤差0.26m、同上 誤差0.12m

 計算結果はとても現実的な数字とは思えませんが、単純な『原理的には』非常に高い精度を期待できるハードではあったようです。