ところで八八式海岸射撃具を長門やコロラドの測距儀と同じく10mや4.5mにしたら同等の精度かといえば
そうもいかないだろう。それなりの精度は有るにしても構造は全然違う

他にも色々有って

まず目標の速度。砲台の演習では「最大速力二、三ノット程度の目標」を撃っていた。
20-30ノット程度の軍艦に対応するのは難しい
敵艦の速度や針路を知るためには海軍のような測的盤などさまざまな装置が必要だが、無ければ目測とカンが頼り

さらに問題は距離。日露戦争では数キロ程度の砲戦距離だったがWW1では急激に伸びた
そのため目標までの距離方位だけでなく、さまざまなデーターを処理する諸計算が必要

日本初の射撃盤は昭和5年に砲術学校練習艦「北上」に装備されたものだが、その後も進化を遂げ
方位・速度・距離・風向き・風速・湿度・温度・装薬の温度・装薬の経年変化・砲齢・・・地球自転速度等々、戦艦大和では二十数項目を入力して計算した。

ほぼ大正時代の技術である八八式海岸射撃具にそんな装備はもちろん無い。3万mくらいの遠距離となると砲弾はほとんど当たらないと考えられる。

あと砲弾。40センチ砲台に配備されたのは古いタイプで、新式の九一式徹甲弾のような威力は無い。米戦艦に命中しても装甲は貫徹できないだろう

もしも米艦隊が「チャンネル・ダッシュ」のように対馬海峡を突破して日本海に入ろうとしたら
よほど近距離から撃たれない限り普通に突破可能と思われる。こうした古い要塞砲の主たる目的は脅し・威嚇といえる