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ISW ウクライナ戦争評価 2230 ET 08.10.2022
10月8日、ケルチ海峡大橋で爆発が起こり、道路の片側レーンの一部が崩落し、近接する鉄道上で7両のタンク車が炎上した。
クレムリンはウクライナ批判を抑制しており、これは巡洋艦モスクワ撃沈、クリミアのサキ基地攻撃の際のモスクワの対応と同様である。ウクライナ側も公式には関与を認めていない。
ケルチ海峡大橋の爆発は、ロシア軍のクリミアへの地上連絡線(補給線)を永続的に断つものではないが、一定期間、兵站業務の阻害要員となる可能性が高い。鉄道の被害はそれほど大きくなく、道路も重量が重くなければ通行可能であるように思われる。
しかし、道路補修が終わるまで交通は制限されるため、重装備に関してはフェリー輸送や鉄道輸送に依存することになる。また、道路交通に関する保安確認の強化も運送遅延の原因になる。
クレムリンはケルチ海峡大橋爆発に関するスケープゴートとしてロシア国防省を利用する可能性が高く、その目的はプーチンへ非難が及ばないようにするためである。なお、大統領府はマスコミに対して、この事件の被害規模を抑制的に扱うように指導している。
今回、初めてとなる現象だが、軍事ブロガーの中から、現状のプーチンの抑制的な姿勢に対する批判の声があがっている。軍事ブロガーはケルチ海峡大橋への対応としてウクライナのインフラへの攻撃を求めているが、注目すべきこととして、ウクライナへの戦術核兵器の使用を求める者はいなかった。
ウクライナ側とロシア側双方の情報源は、クレムリンがケルチ海峡大橋爆発に関連して、軍上層部の更迭をするつもりであると主張するが、その真偽は現状、定かではない。
ウクライナ情報総局によると、10月8日、クレムリンは複数の軍関係者を拘束し、“ジェルジンスキー独立作戦任務師団”所属部隊にモスクワに入るよう命令したという。
また、ワグネル寄りの軍事ブロガーが、ショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長は、アレクセイ・デューミン(現トゥーラ州知事)とアレクサンドル・マトヴニコフ中将(現陸軍副司令官)と交代すると主張している。
クレムリンはウクライナ作戦の総司令官としてスロビキン上級大将を任命したが、この人事は右派陣営から好感を持って受け止められている。なお、ワグネルのプリゴジンもスロビキンを称賛する一人である。