アレストビッチは停戦協定を受け入れるという個人的立場を示した。
ウクライナ政府側がほぼ現状のまま全土の約80%、ロシアが約20%を占有するとの考えだ。
この案を受け入れる前提として、NATO加盟が認められることを挙げた。
ロシアに移譲される国土については、将来的に「非軍事的手段」で取り戻すと強調した。

キーウの軍事筋は、詳しい場所を明らかにしていないものの、西側でNATO流の訓練を施され、
NATO式の戦術や兵器を身に着けた、虎の子の8旅団(1旅団は3000人程度)のうち1個旅団程度が
南部に投入されたことを明らかにした。
当面トクマク制圧の可否が今後の戦況の分かれ目になるとみられる。ここからメリトポリに対し、
高機動ロケット砲システム、ハイマースで集中的に砲撃できるようになるからだ。

筆者はウクライナ軍にとってこの1カ月、つまり2023年8月末までが極めて重要だとみる。
その時点までに、それなりの戦果を挙げることができないと、アメリカがタオルを投げてくる
可能性が現実味を帯びてくるのではないか。
最近、ウクライナ軍はモスクワへのドローン攻撃など、実際の軍事的効果より宣伝効果を
狙ったとみられる攻撃を増やしている。これも、アメリカをにらんでウクライナの継戦への
強い意志を誇示する狙いがあるのではないかと筆者はみる。

吉田成之