ウクライナの反転攻勢が期待されたほど進展しないのは、およそ近代兵器とは言えない対戦車障害が鍵になっているように見える。
対戦車地雷の他、テトラポットを連ねたような「竜の歯(Dragon’s teeth)」と呼ばれる対戦車バリアー、
キャタピラ式の車両でも超越できない対戦車壕などだ。そもそも防御体制を築く上で最初にやるのは、
そのような対戦車障害を防御地域の前に設置して攻撃側の突進を止め、その上で停止する敵に弾丸を浴びせて
攻撃を破砕できるよう準備を整えることだ。ウクライナ軍がロシア軍の陣地を攻撃しようとすれば、
陣前の障害を処理しなければならない。そうしなければ地雷原を前に停止した戦車は防御側の対戦車ミサイルなどの格好の的になる。
戦車に随伴する歩兵は鉄条網に阻まれて釘付けにされ、側面からの機関銃に串刺しになる。日露戦争以来見慣れた戦場の姿だ。