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第一に、戦史における経験則に例外がない以上、戦争の普遍原則であることを否定する材料はない。ウクライナ戦争の前線の流動性、精密誘導兵器やドローンの常時運用はウクライナ戦争にこれまでの戦史の経験則を否定する材料を与えるものではなく、すべての軍事行動は既存の延長線上にある。遺体回収率の低下は負傷者の回収率の低下と同等であり、それが意図的な作戦である場合には、単に膨大な損害を許容する作戦に過ぎない。これまでの戦史から成り立ち、現在の軍事理論の基礎を否定してのみ成り立つ論は非科学的である。

第二に、衛星画像の中に中国などの第三国が含まれず、それらは操作可能な紛争当事国自国のみの情報源で構築されている。また、兵員ローテーション、医療搬送数、捕虜情報などのクローズドな情報に依拠することはオープンな情報源の排除であり、客観的に西側の情報源が操作可能な情報源のみで構成されていることは証明されている。そのような情報操作において、必然的に西側の構築する情報空間ではロシア側の死傷者はウクライナ側の死傷者を上回る推定でなければならないが、一方でオープンな情報源と過去の戦史と照らし合わせた科学的根拠から構築された情報空間ではそのような推定は成り立たない。

第三に、ウクライナの主張と赤十字の透明性は、赤十字がより透明性が高いのは疑いの余地がない。交換をして遺体を確認しなければ多重梱包やロシア兵の混入があるかは確認しようもないことが明らかにも関わらず、ウクライナが特に根拠のないままそのような主張をしていたことはそれを裏付ける。

第四に、ロシアの情報提供は原則として戦傷者の「回復不可能な損失」であり、戦死者数には意味がなく、重要でもない。遺体交換をもとにした戦死者の比較はそもそも戦死者を統計にしないロシアの延長線上にある。回復不可能な損失であればそれが負傷者であろうが死者であろうが軍事的な意味合いに差はなく、これは合理的である。一方でこれは戦死者の交換数が戦死の割合の推定に役立たないという意味ではない。