ロシアのウクライナ併合を「正統」と認めている国は、国際的にはごくわずかである。国連総会ではこれを否定する決議が何度も採択されており、世界の大勢は一貫してロシアを「侵略国」と位置づけている。
2014年のクリミア併合時、国連決議68/262に賛成したのは100か国、反対はロシア、ベラルーシ、北朝鮮、シリア、ベネズエラなど11か国に過ぎなかった。2022年にロシアが東部・南部4州を併合した際の決議ES-11/4でも、賛成143、反対わずか5(ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、シリア、ニカラグア)であり、2025年の最新決議でも反対は8か国にとどまっている。つまり、ロシアの行為を全面的に支持する国は一貫して一桁台で推移している。
一方で、中国、インド、ブラジル、南アフリカなどは棄権を続けており、「併合を認めない」と明言せず中立を保っている。このため、西側諸国からは「実質的なロシア支援」とも見られているが、彼らは経済関係や非同盟外交の維持を優先している。アフリカや中東でも、旧ソ連時代からの関係やエネルギー依存を背景に沈黙を選ぶ国が多い。ただし、それらの国々もロシア領として正式に承認したわけではなく、あくまで「距離を置く」姿勢にとどまっている。
実際にロシアの主張を公式に承認した国は、シリア、北朝鮮、ニカラグアなど少数である。これらは経済援助や軍事支援をロシアから受ける国家で、国際政治的には孤立気味の体制国家が中心だ。

まとめると、ロシアの併合を「合法」とみなす国は十指に満たず、世界の大多数は侵略行為として非難している。棄権国を含めても、国際社会の基本姿勢は「ロシアの行為を認めない」で一致しており、正統性を主張するロシアは少数派のままである。