中身があるわけでもなければ面白いストーリーでもないのに奇妙な充実感を得られるのが映画の不思議というか、音楽なら当たり前な事が当たり前にならない限界というか
反物語だの前衛だのと肩をいからせなくても結果としてそうなってしまう事(うまくいけばの話だが)の珍妙さ。
蓮實がいわゆる実験映画より一般映画に惹かれるのは「最低限の体裁だけはどうにか整えようとするところから生まれる綻びのようなものへの執着」にあると言う。