>>108
> 縦に双発にすれば…(英国面…)

まず縦に積んだ双発はエンジンの整備性がとても悪くなるという重大欠点がある
まあ、この欠点だけで却下するに十分だと思うのだが、もう少し縦双発にしたSTOVL戦闘機の問題点を考察してみよう

縦双発の場合、STOVL戦闘機では上下のエンジンをどう配置するかという問題がある
イギリスのライトニング戦闘機は通常のCTOLだったから2基のエンジンを(特別なオフセット=位置ずらしはせずに)縦に素直に積めば良かったが
F135エンジンのようなノズル偏向方式でのSTOVL戦闘機だとエンジンノズルの下方向が完全に開きスペースになっていなければならない

そうすると、上のエンジンを下のエンジンよりも後方に設置してVLでの垂直ノズル使用時には
上エンジンによる下向きノズルは下エンジンの下向きノズルよりも後方に来る(だから上エンジンによる下方噴射でも
下エンジンやそのノズルには直撃しない位置関係となる)ようにすることになる

だが、これだと水平飛行時には上エンジンのアフターバーナー部分の後半あたりは下エンジンの排気を浴び続けて加熱される問題が生ずるし
VLでの下方噴射時には下エンジンの噴射は上エンジンの排気と多少は干渉せざるを得ないという欠点が生ずる
しかしこれらの問題や欠点には目を瞑って更に検討しよう(耐熱処理とかすれば良いから対応は可能と考えられるからだ)

しかし更に悪いことに、そういうVLモードでピッチバランスが取れている状態で上エンジン(より後方で下方に噴射中)の推力が一時的に低下すると
機体が推力不足で落下する際に水平姿勢のままでなく、ピッチダウンの姿勢変化が生じて頭から地面に突っ込もうとする
逆に下エンジンの推力が一時的に低下するとピッチアップの姿勢変化が生じてお尻から地面に落ちてしまう

つまり、上下のエンジンを前後にオフセットして搭載せざるを得ないので、機体重心点から上エンジンのノズルと下エンジンのノズルとでは距離が異なることとなり
VLモードでのピッチモーメントへの寄与は上下のエンジンで異なることになってしまう
(上エンジンのほうが後方にオフセットされるので、垂直噴射時の重心位置からのモーメントアームは下エンジンよりも上エンジンのほうが大きく
故にピッチモーメントへの寄与分も下エンジンより大きい)