このデータから筆者が想起するのは、元国連職員から聞いたこんなエピソードである。
国連総会においては、ときには瑣末でどうでもいいような議題が投票にかかることがある。
こういうとき、利害関係も関心もない発展途上国は、賛成か反対かの対応に悩む。なにし
ろ本国からの訓令はなく、自分で決めようにも判断材料がない。そういうときは、「とりあ
えず日本と同じにしておけば安心」なので、日本が賛否を投じた直後に、一斉にそれと同
じ投票行動が続くのだという。

つまり、日本外交は妙なところで信用があるらしい。日本人であれば、どんな事案であ
っても一通りの事実関係は調べるだろうし、それなりの理屈を立てた上で賛否を決めるだ
ろう。そこには一定の我田引水もあるだろうが、全体としてはけっして極端な意見ではな
く、第三者が援用しても十分に通じる合理性があるはずだ。加えてアメリカや中国の意見
に賛同するのはちょっと怖いが、日本の真似をする分には、後で恩に着せられる心配もあ
るまい……おそらく、そんな計算が働いているのではないだろうか。

http://tameike.net/pdfs7/tame345.PDF

トランプみたいに「アメリカに賛成しないと経済援助止めるぞゴラァ」なんてこと言わないしな。