思春期というのは単なる生理学上の性的な成長を指す言葉ではありません。
重要なのは身体的な変化ではなく、精神的な変化です。

思春期の「精神的な側面」は、簡単に言えば「異性から見て自分がどう見えるか」と悩む時期です。

通常なら、この「異性から」が発生する前段階として、「他者から見て」という認識が育ちます。
この部分がもともと育っていなければ、「異性から見て」という認識に到達することはありません。

自分を省みることのない、主観的な主体として、対象に向けて欲求する指向だけが、より強くなってゆきます。
この力が、ひたすらに「唯一の関係者」である親に向けられるのです。