ほとんど負けなかった印象の年度だったが、朝日杯決勝では藤井聡太七段に屈した。

 「もちろん強いことは分かっていましたし、もう実績的にもトップクラスですから。自分が高校1年の時と比べてもかなり違いますけど、実際に指してみないと手応えのようなものは分からないので、指してみて分かったところも多かったです。
自分は中終盤には勝敗がハッキリしている将棋が多いですけど、藤井さんは作りが終盤型で、一気に抜け出したり、罠を仕掛けたりする。詰む詰まないで一気に決着を付ける将棋で、谷川浩司九段に近いです。
今は序盤に比重をシフトチェンジしている棋士が多くて、序盤でガチャンと駒をぶつけて、さあどちらが形勢を握るか、という将棋も多い。終盤型の棋士は減っていく気がしますので、藤井さんのようなタイプは貴重になってくるかもしれません」

 「勝った時の喜びは子供の頃と変わらないです。楽しいというのはさすがに…でも、トップ同士の将棋というのは技術的にものすごく細かいことを考えながら指しているものなので、お互いにこんなに細かいことをやっているんですね、と確認できたような時は楽しいと感じているのかもしれないですね」