死力を振りしぼった名局
振り駒の結果、先手を得たのは佐々木。互いに飛車先の歩を突き進めていく相掛(あいが)かりの戦形となった。
序盤戦から両者妥協せず、すぐに激しい戦いが起こる。局面は大きく動いたものの、形勢はバランスが取れたまま進行していき、
ほぼ形勢互角のまま終盤戦に入った。
藤井は銀をただで捨てる華麗な攻めの順で、佐々木玉を追い詰める。佐々木がただのところに桂を成り込めば、
今度は藤井は受けでただのところに銀を打つ。めくるめくような鬼手(きしゅ)の応酬が見られた。
手数が100手を過ぎるあたりで、わずかに抜け出したのは佐々木の方だった。
セオリー通りに馬(成り角)を自陣に引きつけ、自玉を安全にしてから、2枚の龍(成り飛車)で藤井玉を追い詰めていく。