さすがの藤井も万策尽きたか。そう思われたところからまた見せ場を作るのが、藤井の終盤力である。
複雑な終盤戦。時間のない佐々木は最短の勝ち筋を逃した。
「大丈夫か、おまえ?!」
解説を担当していた深浦九段は、愛弟子の佐々木の手を見て、思わずそう叫んでいた。
藤井聡太に勝つのは容易なことではないことを、改めて思わせる
最後、佐々木玉は詰むや詰まざるや、というところまで追い込まれた。
139手まで進んでみれば、ようやくはっきりした。佐々木玉は詰まない。
「お互いに死力をふりしぼった」
深浦九段がそう評するほどの大熱戦は、藤井が深く頭をさげて、幕がおろされた。