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16歳の渡辺が60歳のヒフミに完敗


渡辺さん:「中学生棋士コンプリート」みたいな感じなんですよ。僕は、加藤一二三先生とは1回だけ対戦したことがあります。
2000年のことで、たぶん自分が16歳で加藤先生が60歳のときの対戦だと思うんです。加藤先生は60歳でしたけど、まだA級棋士でいらした。
自分は初めて対戦するんです。トップ棋士というか、大御所中の大御所みたいな先生と。
ただ、年齢が自分は16歳で、加藤先生は60歳じゃないですか。だから、まあ…「もしかしたら勝てるかもしれない」とは思っちゃっているわけですよ。

伊藤さん:年齢的にも若いですからね。

渡辺さん:若い人のほうが有利じゃないですか。もちろん加藤先生のことは僕はテレビでは小さいころから見ているし、すごい先生だとは知ってます。
ただ、そのときの年齢を考えると、「もしかしたら勝てちゃうかもな」と思ってやったんですよ。そしたら、全然ダメだったんです。

伊藤さん:びっくりされました?

渡辺さん:当たり前ですけど、「こんなに強いんだ!」と。
僕がプロ1年目の出来事だと思うんですよ。プロの強さを肌で感じた初めての機会。
30代・40代でバリバリの人に負けるなら自分も「そうだろうな」と思うんですけど、「60歳でこんなに指せるもんなんだ!」と。

伊藤さん:「やっぱりプロ棋士はすごい!」ということですよね。

渡辺さん:それは思いましたね。「プロの中でも、トップ中のトップの人は全然違うんだな」と。これがプロになって、最初に印象に残った出来事。
最近、藤井聡太七段が「中学生棋士全員から1勝ずつしました」というニュースを見て、「僕は加藤先生に勝てなかったから、できないわ」と思って…。

https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/detail/oute20191014_02.html