『渡辺明の思考』(2014年)58P
要旨抜粋
──羽生世代として生まれていたら、羽生さんの七冠制覇を阻止していたと思いますか
渡辺 わからないんですよ。あの頃の時代のからくりは。
──からくり?
渡辺 羽生さんが七冠を制覇しましたよね。でもその後に森内さんや佐藤康さんはタイトルを奪った。七冠を阻止できなかったのに盛り返した。そのからくりがわからない。
──七冠を制覇するくらいだから突出した力があったはずなのに。
渡辺 そう、七冠達成前と達成後の力関係がわからないんです。
──言われてみればそうですね。
渡辺 七冠達成のあと、羽生さんは次々にタイトルを失いました。一番悪いときは王座一冠まで後退したわけですよ。それだけタイトルを独占していた人が、一気に失うなんて。
──七冠達成が奇跡的な巡り合わせだっただけで、その後の取ったり取られたりが自然なのか。それとも七冠達成時が棋力、体力ともに最高到達点で、徐々に力が落ちていっているのか。
渡辺 しかし2014年現在の羽生さんを考えると、力が落ちたとも思えない。
もちろん周囲の人々の成長など兼ね合いもありますが。
あのときだけ何かあったのかなぁ。逆に七冠のときには何があったのか知りたいですよね。
将棋ライターの方々にはそのあたりを調べて書いてほしいな