宮田敦史五段(当時)「僕の前に誰か出てきましたか」
2018.08.08
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 昨年暮れ、宮田五段は胃潰瘍のため手術を受けた。入院中にベッドで読んだ『近代将棋』にその問題があった。
「連日考え続けて、手術の直前も考えていたんですが、どうしても解けなくて、そのうちまた胃が悪くなってきて……」

 再び静寂が訪れた。深刻な顔で余詰めを探す宮田五段を見ているうちに、脳がきしむ音が聞こえてくる気がした。マシンではない、生身の人間が150キロの豪速球を投げるときの、筋肉がきしむ音のような―不意に宮田五段が口を開く。

「僕は緊張してるように見えますか」

 緊張は体によくないと医者にいわれたそうだ。次の質問を急いだ。