内藤は布団に入っていた。白い顔だった。
芹沢さんが「とにかくここを出よう」と言っても内藤は目を閉じたまま。
掛け布団をつかんでいる両手がこきざみにふるえていた。

「今日は一人で食事をする。もういいから」と断っても、私が怒りに狂っていると信じこんでいる二人はどうしても引かない。
相手に悪意があるのならこちらも好きなことを言えるのだが、
悲しいことに私を慰めてやろうという善意の固まりである。それには勝てなかった。


虚像:白い顔で布団をかぶり両手がこきざみに震えていて今にも精神がズタズタになりそうな内藤
実像:飲みにいくのが嫌で布団をかぶり外に出ないアピールをしながら飲みを断り続ける内藤

総括:「思い込みが真実を見えなくする。」