>>338
文藝春秋「現役最強渡辺明二冠、 史上最年少藤井聡太棋聖を語る」


第1局は後手番で藤井君の矢倉を受けてたちました。藤井君の終盤力が尋常で無いことがよく分かりました。全く考えて無い手を指されてしかも負かされました。

最初は藤井君に勘違いがあると思いました。自分の読み筋が間違えているというところからは入りません。自分への信用もあります。

これまで相手の方が間違えていたからこそ現在の自分のポジションがあるわけですから。でもこの時は違いました。

初めは少なくともこちらがはっきり負けてるとは思いませんでした。しかし、局面が進むと負けが理解出来ました。

感想戦で藤井君が早い段階で勝てると見通して踏み込んで来たことが理解出来ました。

今までトッププロ同士の対局でも軽視レベルの手はあれど、こんな想像も出来なかった手を指されたことは初めてです。

プラスの気づきでは無いけれど終盤を普通にやったら藤井君には勝てないことがはっきりしました。

藤井君は私が気づく10分前から理解できていました。終盤では1手60秒ですから、10分で10手進みます。

つまり藤井君は私より10手ぐらい読みのスピードが早い計算になります。

私は序中盤にもウェイトを置いており、終盤の読みの速度はトッププロの中で平均ぐらいです。

現状で藤井君に読み勝つのは厳しく、第三局をどうすべきか悩みました。

藤井君の強みはAIとはほぼ関係無いと思います。藤井君は中終盤力で勝っていますから。

むしろAIが関係しているのは私が勝った第三局です。全部を網羅していく将棋はAIを使わないと無理ですから。

藤井君はあらゆる面で突き抜けています。