さて、一方でまるで才能に恵まれない女性提督がいた。
その名をオスカル・ナイフと言った。
彼女はもともとは帝国の軍人の家系の貴族で、家が亡命して、父が同盟軍に従軍したから、自分も他にやることもないし、と従軍したに過ぎなかった。
彼女自身は腰掛けのつもりでついた仕事に過ぎず、男を捕まえたらさっさと退役しようと心に決めていたが、何の因果か彼女にとって不幸なことに、気がつけば提督にまで出世してしまっていた。