泰明小の開校百周年記念誌『泰明百年ものがたり』によると、泰明小で標準服が定着したのは1970年だった。
標準服の歴史は脈々と受け継がれ、和田校長が5年前に着任してからも、私服を要望する意見はPTAや保護者から一度も出ていないという。
「現行の標準服に対する理解は、PTAや保護者も含めて見解が一致している」(和田校長)。

2018年で創立140周年を迎えた泰明小は、島崎藤村や北村透谷、近衛文麿ら多くの名士が通ったことで知られる。
帝国ホテルに近い場所に瀟洒(しょうしゃ)な校舎を構え、学校前にはしゃれたカフェもあり、さながらヨーロッパの街並みを彷彿とさせる。

こうした歴史や情景を街の人々も愛し、泰明小の学区内の児童数が減少して統廃合が危ぶまれたときも、地元ぐるみで懸命に存続の道を探ったという。
泰明小は、銀座に根を下ろして生活する人々にとって、シンボリックな存在であり続けてきた。

■学区の世帯平均年収は972万円

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泰明小は日本で最も土地代が高い地区である銀座1丁目から8丁目までを学区とする。学区内に子どもが少ないため、2009年に制定された特認校制度を採用。
学区外からも生徒を集めることで存続している。同じ特認校制度を採用している小学校は、ほかに城東小、常盤小、阪本小がある。

現在中央区内には公立小学校が16校ある。マンション情報サイト「住まいサーフィン」が公開している上位10校の情報によると、中央区の学区別世帯平均年収は、最高が佃島小の1006万円。
これに明正小の1002万円、城東小の982万円が続く。

泰明小の学区の世帯平均年収は972万円となり、学区全体で4位だ。

「第4回(2016年)子育て世帯全国調査」(労働政策研究・研修機構)によると、子育て世帯の平均年収は683万円となる。

また、「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」(厚生労働省)によると、ひとり親世帯の平均年収は、母子世帯が243万円、父子世帯が420万円だった。

泰明小の学区の世帯平均年収は、ひとり親世帯を含めた子育て世帯全体に対しては290万円近く上回り、父子世帯には552万円、母子世帯には729万円も差をつけている。