いま、試みにツイッターなどで「ゲイ 老後」で検
索してみれば、つぎのような類いのコトバが拾え
るだろう。


「自分の50代の姿が想像つかない」
「きれいなうちに死んでしまいたい」
「ゲイが刹那的な快楽を求めてしまうのは、
将来に希望をもてないからだと思う」
「ゲイであることは変えられないし男が好きだけ
ど、結婚したいし子どももほしい。社会的体裁も
老後の不安もある。家族もいなくて、一人で、誰
が面倒みてくれる? 考え出したら止まらない。
本当に自分の人生はこれでよかったのか」……


これらはみな、20代の若いゲイたちの言葉だ。ロ
ールモデルの不在は若い世代の生きる気力をも殺
いでいるのだ。

ゲイコミュニティの一部には、こうした不安に堪
えきれず、性急に人生を埋める答えを探すかのよ
うに、薬物、飲酒、恋愛、セックス、仕事などへ
過剰に耽溺する仲間もある。「Sex and the City」
まがいの一見、華やかなゲイの姿は、ジェットコ
ースターのように上下しながら生き急ぐ、もう一
人の私の姿に思われる。そしてそれは、うつ、
HIV、自死など「ゲイの病い」の現実にもつながっ
ているのだ。

「何のために生きているのか」に答えうる生身で
等身大の人生(老後)イメージの欠落と、そこか
ら来る存在不安。これがゲイの老後問題の本質で
はないかと私は考えている。