伏見 では、あなたの子どものころの話にしましょう。ブルちゃんはやっぱ育ちは悪いわけでしょう(笑)。
斎藤 なかなかいいエピソード満載ですよ。母のお腹にいるころに、彼女がイレブンガールズで、11PMでシャバダバ踊ってたんです(笑)。
伏見 実のお父さんははっきりわかってるんですか?
斎藤 うん、多分ヤツだと思うというのが1人いて(笑)。イレブンガールズを卒業した母親は結婚したわけです。
2人でスナックを始めました。でも、パパはロクデナシだったので、すぐにママだけが働く店になったんです。
ゲイ的なことにつながるエピソードとしては、幼稚園時代に、パパが持ってた無修正洋モノエロ本を見つけて、夜な夜なそれを見てましたね。
伏見 あんた…そのころから性欲というものが明らかにあったわけですね。
斎藤 そうですよね。意味はよくわからないんですよ。写真の中に「不思議な白濁液」があったけど、それはなんだろうとか。
チンコも自分についてるモノとは全然大きさも形も違う、洋物だからとくに(笑)。 
それでも、エロいもの、秘められたものにすごい興味があったんですね。
伏見 子どものころから性欲過多という。
斎藤 そうですね。ニンフォマニアな感じで。
伏見 親には一応愛されてたの?
斎藤 うん……。パパは自分勝手な愛だったかもしれない。小学校の2年生ぐらいだったんですけど、パパに2回ぐらいフェラチオされたんですよ。
でも、当時「もっとしてほしい」と思ってたのはすごく覚えてます(笑)。やっぱり、男にやられてたっていうのが輪をかけてたかも。
お母さんにやられてたら、ちょっとイヤだったかもしれない(笑)。
伏見 お父さんがフェラチオしたっていうのは、ゲイだったということ?
斎藤 いえ、あのただ、自分は、すごく美少年だったので(笑)。かわいかったから勢いあまった感じじゃないでしょうか。
ただ、性のグラデーションだと、8対2でノンケのような感じかも。
伏見 ブルちゃんは今でも実はかわいいって自分のこと思ってるでしょう。
斎藤 当たり前じゃないですか!(笑)
伏見 幼少時代、女の子っぽいとかオカマっぽいって言われるゲイは多いと思うけど、ブルちゃんはどんな感じの子だったの?
斎藤 もちろんクラスじゅうに「オトコオンナ」って(笑)。
本名は「おかだ」というんですが、日直当番で黒板に名前を書かれると、「おかだ」の「だ」の部分を「ま」に書き換えられて、「違うもーん」って言いながら消したりしてました(笑)。
伏見 いつごろから女の子っぽかったんですか。
斎藤 小さいころって無防備に出ちゃいますよね。中学生ぐらいから隠し始めて、「俺」とかがんばって言ったりして。
いじめられてはいなくて、逆にかわいがられてた。ジャイアン系の男の子に、よくわからないけどちょっとかわいいところもあるヤツだな、と思わせておいたりして。
伏見 愛されていた子どもだったんだね。
斎藤 とりあえず母親にはよくしてもらいました。サバサバした母親だったんです。
パパにフェラチオされた時代、我が家は家賃や光熱費は滞納しまくりだったんです。岐阜だったんですが。
ふつう、電気やガスは止められても、水道はライフラインなので止められないらしいんですけど、うちは止められてたんですよ(笑)。
トイレの水も、バケツに入れて流してて。電気も止められてたから、薄明かりを頼りに戦時中のような暮らしをしてた。
水は本当にないと困るので、お隣りの洗濯コーナーに忍び込んでバケツで水を汲むのが自分の日課だったんです(笑)。
ある日、隣りのおばさんに見つかって「あんた、なにやってんの!!」と怒鳴られちゃったんですよ。
でも、おびえた眼差しの小2がバケツ持ってたら、だいたい状況を察したらしくて、「好きなだけ持っていきな」って言われた(笑)。そんな泣けるエピソードも。
伏見 ロクデナシのお父さんのご職業は。
斎藤 スナックの経営をしていたので、母親も一緒に働いてたんですが、父親は共同経営者のはずなんだけど遊んでばっかり。
外で使うから出ていくほうが多かったんですね。母親はスナックをやり続けてはいたんですが、でも、小2、小3のころは本当に貧乏でしたね。