伏見 そのころはゲイだっていう自覚はもうあったんですか。
斎藤 ゲイだという自覚はなかったんですけど、とにかく好きなものに興味があっただけみたい。
それって小学校5〜6年生のころ、すごく興奮したのは覚えてますよ。でもまだオナニーとかは知らなかった。
伏見 意外とからだのほうは遅かったんですね。
斎藤 もう頭ばっかり発達してて。オヤジは自分の中のセクシュアルファンタジーの一番最初にインパクトのある存在だったような気がします。
伏見 オヤジ専はそこから?
斎藤 あのー、専門ではないんですけどー(笑)。でもたまに場末のハッテン場でオヤジに犯されたりするのは、それかも。
週末に母親と2人で買い物に行ったとき、そのオヤジが同僚と一緒に歩いてて、いつものように「おじちゃーん」って言おうとしたら、母親が「今はダメ」って(笑)。
当時はわからなかったんですけど、今考えると夜10時台のドラマみたいな良いシーンだったなあと思いますね。
伏見 それですさんだ子にはならなかったの?
斎藤 全然。母親がやってることがむしろ好きだったから。
その「今はダメ」も、今考えるとすごくイカすんですけど、たとえば授業参観のときも着飾ってきれいにして来るんですよ。
伏見 ケバいってこと?
斎藤 そう、ケバくてゴージャスな感じで。でも、他のお母さんと全然しゃべらないんですね。
いつも1人でポツンとしてたので、子どもながらに心配して、「他のお母さんとしゃべらなくていいの?」って聞いたら、「私、群れるの嫌いなのよ」。本当にカッコいい。
オカマ好きする女の像っていうのが、母親にはありましたね。スナックに入ってからもそれなりに人気あったらしく、客からプレゼントもされてたみたいなんですが、
「指環くれるって言ったけど断ったのよ」って言ってて、「なんで? もらえるものはもらえばいいじゃない」って返したら、「靖紀、私が指環をもらったら、返さなきゃいけないものもあるのよ」。
要するに一発ヤらせなきゃいけないということなんでしょうけど(笑)、そういうこともちゃんと教えてくれて。
伏見 ははは、そういう意味じゃお母さんはブルちゃんと違って、体にプライドがあったんですね。
斎藤 はい、自分と違って誰かれ構わずヤるタイプではないみたい。
伏見 カッコいいお母さんだったんですね。今のブルちゃんが表現してることの原型の部分があるのかな。
斎藤 オカマの強気な感じとか、スレてるけどそれに対してプライド持ってる感じとかは、母親からきてるのかもしれませんね。