?入試差別が起こった原因の前提にあるのは“医師全体の不足”
?今回の問題を考える鍵は、医師の仕事における「長時間労働問題」
?現場は女性医師を求めている






この夏発覚し、世間を騒がせた東京医科大学による入試差別問題。

同大学は11月7日に会見を開き、今年と昨年の入試で本来は合格ラインに達していた女子67人を含む計101人の不合格者に追加合格の判定対象とする救済策を発表した。

その間も、他大学における入試差別の事実が徐々に明るみに出るなど、本格的な受験シーズンを前に、この問題の議論はまだまだ続きそうだ。





そもそも、なぜ医師を志す女子学生に対して意図的に門戸が狭められることになったのか。その背景には出産・育児により離職しがちな女性医師を敬遠した、という見方が優勢だ。

しかし、内科医でNPO法人医療ガバナンス研究所研究員を務める山本佳奈医師は、それに対して「医師不足の問題を、ただ女性医師のせいにしているだけ」と異議を唱える。

「今回の入試差別が起こった原因は、まず大前提として医師全体の不足があります。その上で『医師の囲い込み』が目的だったと考えています。大学病院は、選択集中のできる、がんセンター等の専門病院と違い、百貨店のようなイメージで、すべての診療科に医師を確保する必要があります」



山本佳奈医師

「さらに、医局が求めているのは当直もいとわずバリバリ働いてくれる意欲の高い世代。そうなると、いわゆる3?8年目、30歳前後です」。

それはちょうど、女性が出産・育児のライフイベントを迎える年齢と重なると言えるそうだ。

一般的に女性の労働力の割合を示すグラフでは、30?40歳代の部分が顕著に落ち込む「M字カーブ」と呼ばれる特徴が見られるが、女性医師に関しても同様の変化を示している。