アマラは実際自分の意思がないお人形である
霊力を持って王家に生まれた時点で完全に人生のレールが敷かれてたので
自分は天に定められた運命に従って生きるものだと思っている
だから周囲に求められる通り「理想的な女王」として振る舞っていた
そのため民衆からは支持されていたが、彼女自身は国や民に対して特段の感情は抱いていない

そんな彼女なので、放火事件が起こりガランに身を隠すよう言われた時も
「こうなったからにはそれが天命なのだろう」と受け入れてしまった
自分の選択で国の運命を変えられるなどとは彼女は思いもしていない

影武者としての霊媒も、ガランに求められたから素直に行った
他国の要人に真相を話して助けを求めるなどという発想も、彼女には当然ない
自分自身や自国が助けの必要な状態だとすら思っていないのだから

時は流れてある日、霊媒の仕事を終えたアマラは宮廷内でインガと遭遇する
インガは日々の重圧から逃れるため深酒していたのか、或いはもっと悪いものを嗜んでいたのか
酩酊して正常な判断力を失っていた
ガランの衣装を着たアマラを、顔の判別ができない彼は妻と誤認して抱きすくめる
アマラはやはり抵抗しようなどとは思わなかった
彼女はただ、求められたことに応えるだけの存在なのだ

やがてアマラの妊娠が発覚し、ガランは激怒し、インガは自らの過ちに気付いて青くなる