入国管理官という仕事は特殊な知識や技術は必要ないらしく
いきなり初日から入国希望者を審査する事になる。
ちなみに給料は共産主義には珍しく歩合制。
一人を正確に入国許可もしくは拒否する度に5クレジットの給料が入る。
そんな入国管理官の仕事は、1日目だけは
『今日の所はアルストツカ人だけを入国させるように。
入国しようとする人がアルストツカのパスポートを渡してきたなら
緑の入国許可スタンプを渡して返し、
それ以外の国のパスポートなら赤い入国拒否スタンプを押して返すように』
という子供のお手伝いレベルだった。
だが2日目になると
『今日から外国人でも入国できるようになった。
今日からはパスポートに問題が無いか確認すること』
という内容になり、調べる事が一気に増す。
・性別や顔写真が目の前に居る本人と食い違ってないか
・パスポートに書かれた発行都市が、本当にその国にある発行都市なのか
・パスポートの有効期限は切れていないか
これら全てに問題無ければ入国許可、少しでも問題あれば入国拒否する。
そして4日目になると
『今日からアルストツカ人はIDカードが、
外国人は入国許可証が必要になるので、全て確認すること』
となる。こうなると、以前までの項目に加え、
・パスポートとIDカード又は入国許可証の両方に書いてある
同一の項目(名前・ID番号・誕生日)が同一かどうか
・外国人に直接尋ねた滞在目的・滞在期間と
入国許可証に書かれているそれらと矛盾してないか
まで調べる必要が出てくる。
それ以降も日を追う毎に
『外国から働きに来た労働者は労働許可証が必要となる。』
『テロや密輸を防ぐため、書類の体重の項目より
体重が増えている者はX線検査せよ、
それと今日から外交官は専用の書類が必要なので調査せよ』
『書類に押されるハンコの偽者が出回ったので
偽者のハンコを見破るために手帳にある正式なハンコと見比べよ』
『今日から外国人は身分証明補足書も必要となる』
『日報に指名手配犯の写真が掲載されるので、
入国希望者の中に指名手配犯がいないか注意せよ』
『麻酔銃を支給するので、テロリストが襲撃してきたら撃て』
『理由を言われず入国拒否される事へのクレームが多いので、
今日から書類の不審点を発見したら本人に直接尋ねること。
また、入国拒否する際には入国拒否理由のスタンプも押すように』
『亡命希望者は専用の書類を持っているのでそれも調査せよ』
『伝染病を防ぐため、今日から入国には
ワクチン摂取証明書が必須となる。
3年以内にポリオワクチンが摂取されているか確認せよ』
『今日から外国人は入国証明証と身分証明補足書の代わりに
入境許可証という新しい書類が必要になった』
と、条件がどんどん増えていくのだ。