0020ゲーム好き名無しさん
2020/03/24(火) 00:20:39.67ID:4eDsMH5B0「トロね、トロね、お空飛んでみたいニャ! あおいおそらをふ〜わふわととぶのニャ!
きっときもちいいのニャ〜〜」
なるほど、そういうのもアリかと俺は思った。思ったら早速実行だ。友人連中に連絡してヘリウムのガスボンベと大きめの風船を手配した。
それらが揃った日の夕方、俺と猫便は都市部からほんのちょっとだけ離れた郊外の丘へやってきた。
「ここになんのおようじなんだニャ? ! もしかしてピクニックなんだニャ? わーい、わーい。 ピクニック〜、ピクニック〜。
おべんとうもってきたかニャ?」
「阿呆。黙れ。そんな用事じゃねぇ。・・・それはともかく、おい、猫便。空飛んでみるか?」
「ニャ?! おそらとべるのニャ? わーい! わーい! トロおそらとぶのニャ〜〜。 わくわくなんだニャ〜〜!」
「よっしゃ。まずはこの紐を足に結びつけるんだ」
「はいニャ」
猫便は紐をテメェの足に結びつけようとするが・・・所詮は畜生である。そのような器用なことができようなずもない。
「ニャ・・・かなしいニャ・・・紐、結べない」
「このド不器用が。おら、結んでやる。途中でほどけたら大変なことになるから、キツめにするからな・・・・・・ほら」
「ちょっといたいニャ・・・でもうれしいのニャ♪」
「この風船にガスを入れたらもう飛べるからな。そのつもりでいろ」
「わくわく♪ わくわく♪」
シューーーー・・・
ヘリウムガスを注入された風船は見る見るうちに膨らみ、重力に抗って空へと飛んでいこうとしている。いきなり最大まで注入して、
猫便の醜態を楽しむ間もなく空の果てまで行ってしまってはツマランので、紐をつかんでいる手の力をちょっと緩めたりしながら
いい感じになるまでガスを入れた。
「もうよかろう、手を放すぞ」
「わくわく・・・どきどき・・・おそらとぶの・・・きっときもちいいのニャ。うっとりニャ」
「ほーら」
俺は風船と猫便を結ぶ紐から手を放した。猫便付き風船はやや上昇しつつ、風に従って街の方へ流れていく・・・。
「おそらとんでるニャ! わーい! わーい! ?でるのニャ! トロとんでるのニャ!」
何やら猫便ははしゃいでいるが・・・もーすぐかな、まだかな、はやくこないかな・・・来た!
街の方の空に、数十の黒い点が見える。「ガァー」という泣き声もワンセットだ。