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竹馬の友、セリヌンティウスは、深夜、王城に召された。
暴君ディオニスの面前で、佳き友と佳き友は、二年ぶりで相逢うた。
メロスは、友に一切の事情を語った。
セリヌンティウスは無言で首肯き、メロスをひしと抱きしめた。
友と友の間は、それでよかった。
セリヌンティウスは、縄打たれた。
メロスは、すぐに出発した。
初夏、満天の星である。

メロスはその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、村へ到着したのは、
翌る日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた。
メロスの十六の妹も、きょうは兄の代りに羊群の番をしていた。
よろめいて歩いて来る兄の、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。
そうして、うるさく兄に質問を浴びせた。

「なんでも無い。」
メロスは無理に笑おうと努めた。
「市に用事を残して来た。またすぐ市に行かなければならぬ。
 あす、おまえの結婚式を挙げる。早いほうがよかろう。」
妹は頬をあからめた。

「うれしいか。綺麗な衣裳も買って来た。
 さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来い。
 結婚式は、あすだと。」

メロスは、また、よろよろと歩き出し、家へ帰って神々の祭壇を飾り、
祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。