コングラッチュレーション
             ,―==7     Congratulation!   コングラッチュレーション
             |く ___ _>                    Congratulation!
             fll`ーU+'
             `''、 ー=|      おめでとう・・・・・・・・!
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眼が覚めたのは夜だった。
メロスは起きてすぐ、花婿の家を訪れた。
そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と頼んだ。
婿の牧人は驚き、それはいけない、
こちらには未だ何の仕度も出来ていない、葡萄の季節まで待ってくれ、と答えた。
メロスは、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだ。
婿の牧人も頑強であった。
なかなか承諾してくれない。
夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか婿をなだめ、すかして、説き伏せた。

結婚式は、真昼に行われた。
新郎新婦の、神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、
ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。
祝宴に列席していた村人たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、
めいめい気持を引きたて、狭い家の中で、むんむん蒸し暑いのも怺え、陽気に歌をうたい、手を拍った。
メロスも、満面に喜色を湛え、しばらくは、王とのあの約束をさえ忘れていた。
祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなった。

メロスは、一生このままここにいたい、と思った。
この佳い人たちと生涯暮して行きたいと願ったが、いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。
ままならぬ事である。
メロスは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。
あすの日没までには、まだ十分の時が在る。
ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。
その頃には、雨も小降りになっていよう。
少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかった。
メロスほどの男にも、やはり未練の情というものは在る。
今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、
「おめでとう。
 私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。
 眼が覚めたら、すぐに市に出かける。
 大切な用事があるのだ。
 私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無い。
 おまえの兄の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だ。
 おまえも、それは、知っているね。
 亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。
 おまえに言いたいのは、それだけだ。
 おまえの兄は、たぶん偉い男なのだから、おまえもその誇りを持っていろ。」