それでも日本人はまた戦艦「大和」をつくるだろう この国が抱える根本的な宿痾

三田
ある石油プラント会社の重役の方と対談したことがあるんですが、日本の会社では、
社員5人に持てるだけの手荷物を持たせて「頑張ってこいよ!」って成田から送り出す。
現地の中東でプレハブ小屋を一棟建てて、寝袋、カップ麺で「よし、皆、頑張ろうな!」ってなる。

すると隣でも米国の石油会社が開発を始める。米国の会社は鉄骨コンクリートで支社を建て始め、
住宅やプール、果ては18ホールのゴルフ場まで建設し、それらが完成してから、社員が家族と共に赴任してくる。
日本は依然としてプレハブ小屋とカップ麺で「あいつらに負けないように頑張ろう!」のままで、
東京の本社も電話で「頑張れ!頑張れ!」って応援するだけ(笑)。

戸高 
もう太平洋戦争のまんまの構図ですね。個人で「何とか乗り切ってくれ」っていう。もうモチベーションが違いますよね。
会社が全力でバックアップして、家族の支えもあれば100%、120%の力が出せるわけですよ。

太平洋戦争の激戦地ガダルカナル島のヘンダーソン飛行場争奪戦が全く同じです。
まず作業する人間の生活環境を整えてから目標物の建築に入る。そうして然るべきなのに、
日本は掘っ立て小屋で寝起きし、風土病に悩まされながらスコップとツルハシ、モッコでの重労働で、
さらに食うや食わずで補給もない。

一方、米軍はブルドーザーなどの重機とトラック、大量の物資に支えられ、
一定の期間前線で戦えばオーストラリアでの休暇まで与えられる。

三田 
ベスト・パフォーマンスを発揮するためには生活環境の整備は必須なのに、
日本は「個人の努力と根性で困難を克服してくれ」と非合理的なことをいう。
これが多くの局面で失敗を生む原因になっている。

戸高 
これでは絶対に続きませんよ。誰にでもできる作業方法でないと任務達成は不可能です。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/49318?page=4