>>993のつづき

通報事実伝えられパワハラ行為に?
 日本郵政グループは今回の問題を重く見ており、内部通報制度の見直しを進めている。

 「福岡事案の影響により、社員の不信感や不安が払拭(ふっしょく)されていないにもかかわらず、抜本的な対策が講じられていない」。
かんぽ生命保険の不正販売問題を受け、外部有識者で組織された「JP改革実行委員会」は1月、報告書の中で、
内部通報者へのパワハラを「福岡事案」と呼び、内部通報制度の改善を急ぐよう迫った。

 今回の問題では、日本郵便のコンプライアンス担当役員が、処分された統括局長に対し、通報者名を伏せた上で内部通報があった事実を伝えており、
これが一連のパワハラの発端になったとみられる。

 保険の不正販売問題を巡っても「内部通報制度が機能しなかった」と指摘された。
ある郵便局員は取材に「特定されるのが怖くて通報できない」と話す。

 こうした問題点を踏まえ、日本郵政の増田寛也社長は3月の会見で「通報者保護の徹底を図るための施策に取り組む」と語り、
通報情報の共有範囲を厳格化する規定の改正などに着手したと明らかにした。

 今回の問題で被害者側の代理人を務める壬生隆明弁護士は「被害を受けた局長たちが勇気を出して声を上げ、会社を動かすことができた。
郵政グループには、社員の声に真摯(しんし)に耳を傾ける制度を構築してほしい」と話した。 
(宮崎拓朗)