クラウドファウンディング
昭和30年代前半、
戦後復興の槌音の中、そこだけ取り残された煉瓦積みの廃墟に乞食が居着いておった
四人子育てしていた母、余り物が出ると残飯するに忍びず握り飯にしてその乞食に施し
10歳程の姉に持たせてやる。幼児だった私もついて行く
子供には恐ろしい。少し離れた石の上に置いて逃げ帰るのだが一度も話はしなかった
乞食も礼を言うわけでもなし、黙々と煉瓦に炭で細かい数式を書いてた
偉い学者じゃなかろうかという町内雀もいたが説得力なかったな
国上げて廃墟から立ち上がる時代についてこれず、戦前の幻に逃げているのは幼児にも知れた。
我々幼児小児も空を見上げ明日を信じる時代の子であったな。
乞食はロマンでも怪物でもない、町内の施しで露命をつなぐ底辺と知ってた。

襤褸を纏い全てを捨て地に額を擦り付けて乞食である
施しは犬に追われ石飛礫と共に食え

なーにがクラウドファウンディングだ
社会はきさまを乞食以下と笑っておるのだ