>>675 つづき

《総論》

成人後も、新しい神経細胞がつぎつぎと生まれていると言う考え方が真実であるなら、
連合野には新しく生まれた神経細胞が多いはずだが、しかし、現在の脳研究者は
そのような考え方に否定的である。

認知過程を担う神経回路や記憶内容を担う神経回路の神経細胞が入れ替わることは、
一生に渡って学習内容や記憶を保持する大脳新皮質の機能にとってふさわしくない。
大脳新皮質では神経細胞新生がほとんどない事は常識的な結論と言える。

脳科学の実験では、新生神経細胞のように見える画像が、実際には、神経細胞以外の
新生細胞が神経細胞の上に重なって見えた為に間違った結論が出たケースが複数ある。

外傷、出血、梗塞などによって脳に障害が起きると、障害を受けた領域の神経細胞が死滅する。
しかし、神経細胞の新生は観察されない。

脳に障害を負った場合、神経細胞の新生ではなく、脳の可塑性により、存在する脳神経が
分裂して再編、新たな回路への繋ぎ直しにより自己修復する事は大いにあり得る。

不思議な事に、《成体の脳内で新しい神経をつくり出す》または、《海馬新生ニューロンの分化》
などと、盛んに言われている実験はマウスなどの動物実験であり、主に海馬に限られる。

《結論》

シナプスおよび脳の発達は生後短期間で急激に起こり、知能も脳の発達に伴い12歳までに成長が完結する。
仮に《新生ニューロン》が存在するとしても、海馬などの限られた領域であり、その発達は僅かであり限られる。

ヒトも含めて動物は性成長が終了するまでに、すなわち、子供が産める年齢になるまでに、
脳および知能は完成される。それが子孫を安全に育て上げると言う使命に理がかなっている。