>>689 つづき

次に、幼児期または青年期に死亡した被験者の脳組織を解析し、海馬DGでの
新生神経細胞は、幼児期から年齢とともに急激に減少して13歳ではほとんど見られなくなり、
18〜19歳では全くみられなくなった。海馬DGでの神経細胞の新生が成人に至るまで
続いていたとしも、それは極めて稀な現象である。

生存時には存在していた新生神経細胞が、死亡に至るまでの患者特有の背景や
サンプル採取の手法に依存して、解析対象とした組織では失われていた可能性は、
国際的に分散した研究協力者から入手した全ての組織について同じ結果が
得られたことから、無いものと判断した。

次に、死亡からの時間経過の影響についても、癲癇患者22名から治療のための手術時に
バイオプシーした試料および死亡とほぼ同時に2名からオートプシーした脳組織についても
同じ結果が得られてことから、無いものと判断した。

今回解析した59件の成人海馬組織全てにおいて、新生神経細胞の証は見られなかった。