握手会の帰り、
人のまばらな昼間の電車のなかで、ため息をつきながら、僕はただ窓を眺めていた。
ゆるやかな山の斜面に、家々や木々が立ち並んでいる。
京都パルスプラザが遠ざかってゆくのが見える。
さっきまで僕はあそこにいて、天国にいるみたいに、大天使ほちゃと握手をして、胸を弾ませていたのだ。
まだ三部の時間であるが、僕は帰ることを余儀なくされた。
予定があるわけではない。
なにもやることがないから、時間つぶしに京都の町並みでも見て帰ろうと思う。

思えば、裸足でサマーのあたりから、乃木坂の印象は大きく変わってしまったような気がしている。
ファンの増加が著しくなり、
乃木坂バブルと言われるほどの大盛況を博し、そしていまやAKBを越える大きなグループとなった。
それは良いことであるけれども、実はそれは外部者のみによる見方であって、実際にイベントに参加しているオタからすれば、
重大で、また、解決すべき問題を生じさせる事となった。
何事も、良い面があるのなら、その裏には悪い面が隠れており、乃木坂の場合も、この例に漏れていないのだ。

だいたい僕は、二部で帰るほどのニワカではない。
初期からのオタクではないが、握手会は毎回行ってるし、ライブも小規模のところを除いては必ず行くようにしている。
その心持ちはいまでも変わっていない。
しかし、気持ちはあるのに、やはりこの恐ろしいほどのファンの増加によって、
この習慣を守ることが難しくなってきてしまった
ほんとうは今日の個別握手会も、1部から5部まですべて参加する予定であったのに、券がとれなくて二部までになってしまった。
推しているメンバーのことは、はじめから最後まで見届けるというのが僕のポリシーであるのに、
とうとうポリシーを守れなくなってしまった。

僕以外にも、同じような境遇の人は多くいるのではなかろうか。

ひとつ言っておきたいのが、この意見は、ただの券がとれないオタクの愚痴ではないということだ。
僕は、古参とガチオタに関しては、運営から優遇される権利があると考えている。
古参とガチオタは、乃木坂を支えている核だ。
この核があるからこそ、乃木坂の歴史が継承され、深みが増していく。
もしこの核がないがしろにされて、その状況が続いてゆけば、乃木坂の未来はどうなるであろうか。
乃木坂の運営は、そことのころをよく考えてもらいたい。終。


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